5/29-31
29, 30の二日間、東京海洋大学(品川)にて科学史学会。
結果的に、学会の運営そのものはとてもスムーズでよかった。

自分の発表については、最低限の内容にはなったのではないかと思う。
しかし今回は、余裕と自信がさっぱりなかったのがパフォーマンスにはっきり出てしまった。
そのあたりも反省材料にしたい。
頂いた質問・コメントは二つ。
一つは、ニュートン流の極限の微積分がなぜ一般的ではなかったのか、ということ。
この質問自体が一つの誤解に基づいていると今の僕なら感じるわけだが、
普通の感覚ではそう思うのがむしろ当然だろう。この質問を頂いたことで、
博論の最初でライプニッツ流の微積分について概説する必要がある、という確信を得たし、
数学の話と力学の話を合わせて議論すべきだという感を強くした。
もう一つの質問は、音速の問題でラグランジュが正確な結果にたどりつけるとは思えないのに
どうして彼は計算結果と経験の一致ということを言うのか、という点。
問題の文言がそもそも音速の話なのかどうかということは措くとしても、
案外重要な論点になりそうな気がするのでもう少し考えてみる必要がありそう。
どうもありがとうございました。

二日目午後のシンポジウムはフランシス・ベイコンに出席。
本来なら18世紀の話に出るのが筋とは思うが、同じ時代だとだいたい雰囲気が
わかってしまうところがあるのと、17世紀の見え方が自分の中でだいぶ変わってきて
いっそう興味を持つようになってきたのとで、こちらを聴きに行くことにした。
よくわかったことは、この人物の場合実にさまざまな読み方が可能であって、
おそらくはだからこそ後世に大きな影響を与えたのだろうということ。
(その意味ではニュートンによく似ている。)
そこからすると、僕としてはやはりベイコンの受容というところが一番気になる。
しかし同時によくわからないのはこの人物の知的背景で、
いったい何をベースにして自分の考えを発展させたのか、もう少し言うと
この人のオリジナリティは具体的には何だったのかがまだ漠然としているように思う。
あと、僕の研究テーマとの関係から言って衝撃的だったのは
ベイコンが質料に量と力を想定し、形相を法として捉え直した(らしい)という点で、
これが本当ならアリストテレス主義から機械論哲学への移行以外の何物でもないと
思うのだがどうだろう?

その他、聴いた発表で特に印象深かったものをいくつか挙げてみる(自分用の覚書)
・B21: 総合学習としての科学技術史、にはまったく同意見。
・B22: 要するに「研究不正」の社会的構成。なるほど確かに。
・A51: 「時間的力」と「空間的力」か。D・ベルヌーイはやっぱり重要だな。
・B62: 医学にとって理論とか伝統というのは何なのだろう。/そうか、こういう発表形式もあるか。
・A73: つくづく面白い題材だな、と思う。それにしても、表現は構造を保証する、のか?
・B81: 菊池がトライポスを受けていたのは知らなかった。Warwick を読まなくては・・・。

日曜夜は打ち上げの後、Sさんのところに泊めていただいて(いつもありがとうございます)、
月曜は一日休息。すっかり回復したので明日からまた働きます。
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by ariga_phs | 2010-05-31 23:59 | 歳歳年年
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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