2010/6/25-28
18世紀学会参加のため、新潟へ。
学会は土日の二日だが、さすがに遠いので前後泊することにした。

実をいうと今回は発表したわけでもないし、そんなに人と喋ってきたわけでもないのだが、
いくつか収穫はあった。

まず、科学史関係の内容で発表をされたお二人(しかし科学史関係者ではない)とは
一応の面識を作ってきたので、将来的に18世紀科学史関係の研究会でもできれば、と。
ちなみに内容はというと、一つがビュフォンでもう一つが獣医学校。
特に後者はとても面白いところに目を付けたな、と思う内容だった。

それから、『百科全書』プロジェクトでお世話になっているS先生とH先生と少し話をして、
『百科全書』にまつわる質問をいくつかしてきた。
予想通り、「人間知識の系統詳述」は版によって若干違いがあるようだ(!)
その点も含め、この百科事典の(研究上の)問題点は信頼できる定本がない、
ということにほとんど尽きるように思う(実際、引用するときに毎回悩んでいる)。

以下は学会のその他の発表内容に関する私見。

・ズルツァーの美学理論はどう聞いてみても、言わば「精神の動力学」としか思えない。
という感想をH先生(美学)にお話ししてみたところ、まったく同意された。
「運動」とか「力(エネルギー)」とか、使っている語彙がまったく力学なのだし。
ちなみにズルツァーという人物はオイラーと非常に近しいので、
そのあたりの関係も気になるところである。

・今回の共通論題「趣=味」の中のヨーロッパを扱った一連の発表と、
これと関連する主題のもう一つ別の発表を聴いていて、
コミュニケーションの可能性が全体を貫く一つのテーマであるように感じた。
感覚(今回の場合は味覚という、普通注目されないものを取り上げたわけだが)は
万人に共通なのか、そうではないのか。
あるいは、趣味(センス、というような意味での)とは先天的なものなのか、
後から何らかの方法で身につけることができるものなのか。
それは結局、人は他人と感情や判断を共有できるか否か、というところを回っている気がする。

さらに面白いのは、たぶんこの議論は理性をめぐる考え方ともパラレルだということ。
デカルトの言うように良識は万人に備わっているのかそうではないのか、
もっと言うと誰でも同じように考えることができるのかどうか、
という問題が啓蒙主義の根幹にあると僕は思っていて
(それが可能である、あるいは可能に違いない、というのが啓蒙主義の理念なのだが、
現実問題としてはどうか、というところに問題がある)、
「趣=味」の話もそれと同型だな、と感じた。

それから、今回は学会に行って帰ってくるだけで相当な時間がかかった。
(北陸線経由で、金沢で特急を乗り継ぐルート。
京都-金沢は2時間強だが、金沢-新潟は3時間半以上かかった。)
その結果、本を読む時間は大量にあって、なかなか読めずにいたものを読めたのが
案外大きな収穫だったと言えるかもしれない。


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新潟もそこまで涼しくはないな、わりと暑いなと思っていたのだが、
京都に帰ってきたら次元が違った・・・。
旅疲れもあって、帰京後数時間で早くも夏バテ気味。。

しかし身体はともかく、精神的にはずいぶんと元気になった。
原稿書こう。
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by ariga_phs | 2010-06-28 21:04 | 歳歳年年
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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