Kohler, "Ph.D. Machine" (1990)
Robert E. Kohler, "The Ph.D. Machine: Building on the Collegiate Base", Isis, vol. 81 (1990), pp. 638-662.



学位をとってもポストがない、というポスドク問題が言われて久しい。
(僕にとっても他人事ではない。)

大学院(特に理系の)が博士を出しすぎなのではないか、という見方もあるだろう。
少なくとも現在の大学院制度には、そういう節がないわけではないと思う。

しかし何事にも、起源というものがあるわけで・・・。

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この論文では、おおむね1880年代から1920年代にかけてのアメリカで、
学部(カレッジ)と大学院という高等教育制度が出現・確立していく経緯が扱われている。

副題が示しているように、アメリカの大学院制度はカレッジを基盤として
(具体的には、「選択科目」という制度を拡張するという手法で)出来てきた。
そこでは増加するカレッジ教員の養成を主な目的として、
学位(Ph.D.)が量産されるようになっていく。
もちろんその過程ではいろいろな試行錯誤なり批判なりがあるわけで、
この論文はそうした事情にも非常に詳しい。

また最後の節では、そうしたカレッジに基づく大学院という制度が
そこで働く研究者の研究スタイルにも影響を与えたという議論をしている。
私見では、この指摘は重要と思う。

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今日で最終回を迎えた読書会で、この著者の本を読んでいた
Lords of the Fly, T.H.モーガンのラボのlife history)。

この論文は、同書と著者について教えてくださった瀬戸口さんお勧めの一本。
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by ariga_phs | 2011-01-24 23:59 | 何かに使えそう
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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