金子『図説 アインシュタイン』
金子務監修『図説 アインシュタイン』(ふくろうの本)河出書房新社、2007.

アインシュタイン関係でもう一つ。授業の参考にできそうな本はないかと書店で探してみた結果、見つけたのがこれ。とてもユニークな一般向けのアインシュタイン伝。




目次を見るとそのユニークさがわかる。

第1章 ありのままのアインシュタイン
第2章 アインシュタインの生涯
第3章 大正日本を揺るがせたアインシュタイン・ショック
第4章 アインシュタインの日本滞在記
第5章 天才科学者が残したこと

監修の金子氏には『アインシュタイン・ショックI, II』(岩波現代文庫、2005;元は河出書房新社、1981)の著作があり、その内容を簡略化したものがこの本の第3章と第4章。結果として、アインシュタインの科学上の業績についての紹介はごく少なく、本全体の半分くらいがアインシュタインと日本の関わりに割かれているという異色の内容になっている。

「図説」と言うだけあって、大きな図版が豊富。さらに「アインシュタイン訪日日程表」まで付録として入っている。少なくとも講義する側の人間にとって、これは絶好の資料集。しかも『アインシュタイン・ショック』以降に見つかった新出史料も収められているということで、意外に貴重な一冊と言えそう。

アインシュタインの生涯に関しては、アメリカ亡命や第二次大戦後の平和運動への関わりなどについても記述がある。また、「アインシュタインの発明」という節では、アインシュタインが(多くの場合共同で)行った発明(!)と申請・取得した特許(!)について書かれている。僕はこれについてはまったく知らなかった。

以下は付記。アインシュタインの伝記は本当にたくさん出ているが、僕は正直なところどれがよいのかよく分からない。科学史ではアブラハム・パイス『神は老獪にして…』(産業図書、1987)がスタンダードだが、これはアインシュタインの科学上の専門的業績に関する伝記(いわゆる scientific biography)であって、普通の意味での人物伝ではない。少し前に翻訳されて(悪い意味で)話題になった『アインシュタイン その生涯と宇宙』は未読。
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by ariga_phs | 2012-01-21 20:10 | 何かに使えそう
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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