サンシャイン水族館
その水族館は、池袋の駅から15分ほど目抜き通りと複合施設を歩いた先にあった。
水族館がビルの屋上にあるというのは、いかにも東京らしい。

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[※画像は本文とは関係ありません]



京都にいた頃は、何度か大阪の海遊館に行ったことがある。
電車を乗り継いで海のそばまで出掛けていく、めったにない遠出だった。
さらに記憶をひっくり返せば、姫路の水族館にも行ったことがあった。
京都のど真ん中に水族館が作られるという、その計画すらまったくなかった頃だ。
水族館は遠いところにあるもの、のはずだった。

サンシャイン水族館は、それほど大きくはない。
しかしその割には、世界各地の水槽が用意され、主な生き物が揃っている。
回遊するイワシ、薄暗い中にたたずむタカアシガニ、大きな水槽を泳ぎ回るエイ、
ラッコにアザラシ、それからペンギン・・・。
都会の真ん中の、それも複合ビルの屋上という立地で、
これだけの生き物を飼うことの大変さと奇妙さ。
ここで大きな地震が起こったらどうなるだろう、という考えがふと、頭をよぎる。

つまり都会的なのだな、と思う。
この水族館そのものが、本来もっと大きいはずの水族館のダイジェスト版のようだ。
遠出の難しい都会人のために誂えられた場所。
忙しい都会人が、短時間でひととおり見ることのできる施設。
平日の昼間ということで、小さい子供を連れたお母さんたちが多い。
あるいは、もしかすると趣味のブログにでも載せるのか、
本格的なカメラで写真を何枚も撮っている人も幾人か見かけた。

水族館って、こんなところだったか。
そんな違和感をどこかに感じつつ、しかしそれでも楽しく見て回る。
考えてみれば、二人で水族館に来たのはこれが初めてだった。
これから先、水族館は遠出の目的地ではなくなるのだろうか。
都会に閉じ込められることのかすかな息苦しさと、
これでいいという感覚とのあいだで、
最後に見たペンギンのコーナーからは、潮と魚の臭いがやけに強く漂っていた。










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これは怖い。
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by ariga_phs | 2012-07-03 23:59 | 歳歳年年
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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