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学会発表要旨
学会発表の要旨の締切が今月末なのは、ずっと前から分かっていたこと。



当然ずっと前から取り掛かってはいたのだが、それがようやく書き上がった…!
発表は三年目だが、これほど要旨に苦しんだのは今回が初めてだ。

理由は自分でもだいたい分かっていて、要するに、
これまでと方針を変えようと思ったからである。
今までは、わりと細かな論点について、その数学的な細部まで説明していたのだが、
それをやめて、もっと大きな流れを話すことにした。
論証ではなく提示をすることにした、と言うのが適当な表現かと思う。

そうすると、必然的に、今までよりも多くのことに言及せねばならない。
だが同時に、いろいろなことを言いすぎてかえって話の筋が分からなくなる危険もある。
15分という発表時間を考慮すると、ある程度喋ることは絞らないといけない。
つまり、今までよりも多くの材料の中から、言うべきことを精選する必要があるのだ。
僕は細かいことをある程度詳しく厳密に話すのはそれなりに慣れているし、
逆に冗長に喋ろうと思えばどれだけでも脱線しつつ話せる自信があるのだが、
今はその両極端の間を取ろうとしているわけで、それがとても難しかった。
A4わずか1枚の要旨を書くのに結局3週間近くもかかったことになる。

もちろん、発表のときに主張だけ提示してその根拠や詳細を述べないというのは、
その主張がどれほど説得力のあるものか分からないという意味でよくないことだ。
だがそれでもなお、本当の詳細は僕以外のほとんど誰も理解できないだろう
(とりわけ、あの短い発表時間を考えると)ということを考えると、
細部は自分の手の中に握っておきつつも質問されるまで外には出さない、
ということが求められるのではないかと思うようになった。
…不本意だが。

それが本当にいいのかどうかは分からないが、今年はとりあえずそうしてみようと思う。



ところで、今月中に書くつもりだった論文もまた、なかなか形になってくれない。
だが、おそらく苦労していることの本質は発表要旨の場合と違わないと思うので、
後者がうまくいったのだからこの勢いでブレイクスルーが起こってくれないかと期待したい。
by ariga_phs | 2008-03-23 23:22 | 歳歳年年
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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