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チェックポイント
時には後ろを振り返ることが必要だ。



毎年この日(10/23)には、後ろを振り返って現状を確認するのが習慣になっている。
一年前と比べて、どんな進歩があっただろうか。



最も重要だった出来事を一つ挙げるとすれば、
ソウルでのワークショップに参加してきたこと(1月)だろう。
これは何よりも、英語で意見交換・コミュニケーションをするということに対する
自信を与えてくれたし、知り合いを増やすことの重要性を確信する契機にもなった。
また、日本史についての見方がこの時に大きく変わったことを言っておかねばならない。
今のところこれは僕自身の研究に直接結びついてはいないけれども、
将来的にはかなりの違いを生んでくるのではないかと思う。

専門の研究内容(博士論文で扱う主題)に関して言えば、この一年間で、
かなりの軌道修正がなされた。
もともとは、修士論文の内容(の一部)を投稿論文に仕立てるにあたって
モーペルテュイという人物の書いたものも一応読んでおかなければ、
という程度で始めた研究が、結果的に僕の考え方をずいぶん変えてしまった。
この新しい路線は、先の夏休み中に書いていた「サーベイ論文」へとつながり、
目下取り組んでいる研究もその延長線上にある。
何より重要なことに、この新しい方向の研究は(たぶん当初意図していたものより)
明らかに僕向きで、物凄く面白い。

専門研究以外にも、いろいろと新しいことを勉強した。
二十世紀物理学史を扱ったQuantum Generationsを読む勉強会がまず一つ。
次に、一種の自由研究としてコペルニクスについて調べてまとめたのが一つ
(これをシリーズ化する計画は今のところ頓挫している)。
それからこの夏の「サマースクール」にあたって、マクスウェルと電磁気学の歴史を
勉強し直したこともかなりの財産になったように思う。
また他にも、多くの勉強会などでいろいろなテキストを読んできたが、
それらもまた意識的・無意識的を問わず栄養になっていると信じたい。

さらに、今年度前期の非常勤(物理)のことがある
(まさに棚からぼた餅としか言うほかなく、紹介いただいたSさんには心底感謝している)。
教えていたのは物理の基本中の基本といった内容なので、科学史的にどうこう、
というわけではないのだが、教えること自体の経験はとても貴重だった。
また、物理という分野の特殊性について反省するよい機会でもあった。
ちなみに、この仕事は来年度も継続してやることになりそうである。
大変なのは確かだが、よりよいものを目指したい。



どうやら、この一年の間は大した進歩がなかった、という結論は避けられそうだ。
では再び前を向いて進むことにしよう。
by ariga_phs | 2008-10-23 09:40 | 歳歳年年
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筆者プロフィール
有賀暢迪(1982年生)
科学史家。筑波在住。
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